「女性活躍」が「少子化推進」となるワケ

2018.07.09 Monday

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    少子化とそれに伴う人口減少は、日本が抱える大きな課題だ。
    基本的に出生率が2.07より低くなると、人口減少と高齢化の促進に繋がるが、
    日本の出生率は、1961年に初めて2.0を切り、
    1975年以降は常に2.0を下回り続けている。
    そして、1998年以降は恒常的に1.5を切り、2016年の出生率は1.44だ。

     

    つまり、少子化問題とは、最近になって顕著化した問題などではなく、
    数十年前から始まっていた問題なのである。

     

    これに対して政府は次々と少子化対策を打ち出すが、
    その全てが何ら出生率にインパクト与えることなく失敗している。
    現政権も、少子化を重要課題と位置付け、教育の無償化を筆頭とした対策を打ち出しているが、
    これらの政策も全く少子化を改善することに寄与しないだろう。
    それどこから、更なる悪化を招く可能性すらある。
    少子化の主要要因の1つは「女性の高学歴化」であり、
    教育の無償化政策はこの流れをより強める政策だからである。

     

    政府の打ち出す少子化対策がことごとく失敗する最大の原因は、
    「人間も動物である」という当たり前の事を無視しているからだ。
    人間も動物であり、自然の摂理に逆らうことはできない。
    女性には妊娠・出産について「生物学的な限界」が存在する。
    どんな育児に関する社会的サポートを充実しようと、
    どんなに所得が増えようと、ある年齢を超えると希望の人数の子供を持つことは“生物学的に”難しいのだ。

     

    女性の生殖能力は20代後半から低下し、36歳を境に急低下する。
    つまり、30歳前半に1人目の子供を産めたとしても、
    2人目を産むことは既にかなり困難であり、3人目となると殆ど絶望的だ。

     

    日本政府の根本的な間違いは、「育児環境支援」ばかりに注力し、
    第一子の出産年齢が徐々に上がっていること、つまり「晩産化」に対し何ら手を打っていないことだ。

    1950年の女性の平均初婚年齢は23.0歳だったが、2015年は29.4歳にまでなり、
    2020年には30.0歳になると予想されている。
    この傾向を変えない限り、絶対に子供は増えない。

     

    女性に「早く結婚して子供を産みましょう」と言うと、
    必ず「個人の自由に口を出すな」というような批判が起きる。
    政治家はこの事をよく知っているから、票が奪われることを恐れ、このような事を口に出さない。

     

    無論、子供が要らない、もしくは1人で良いと考える人はそれで構わない。
    しかし、現実は30歳を過ぎた結婚であっても、2人、3人目の子供を欲しいと思っている女性が多い。
    最初はそうは思っていなくとも、1人目の子供が出来ると2人目が欲しくなる。
    しかし、現実は結婚時の妻の年齢が24歳までの夫婦しか、出生児数が2.0を上回っていない。

     

    「欲しいときではなく、産めるときに子供を作る」
    こういった意識を国民が持たなければ、少子化は絶対に解決しないのである。
     

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