嘘が蔓延する日本経済

2017.08.28 Monday

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    政府(内閣府)が発表した2017年4-6月期の実質GDPは、
    6期連続のプラス成長となり、2017年度の成長率見通しは1.8%増と上方修正された。

     

    GDP(Gross Domestic Product)とは、日本語にすると「国内総生産」となる。
    日本国内で生産された付加価値の総額であり、
    日本人であっても海外に住む国民の生み出す価値は含まない。
    逆に、国内であればそれが外国人によって生み出されたものであっても含まれる。

     

    GPDが増加することが、必ずしも個人の生活の向上を意味するわけではないが、
    ある国の経済状況を推し量る指標として、最も用いられる指標だ。
    国家の収入とは、ざっくりと言うと「GDP×税率」と言っても良く、
    GDPが拡大することは、国家にとっては間違いなくプラスであろう。

     

    GDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2つがある。
    名目GDPは物価変動の影響を受けた表面上の値で、
    実質GDPはこの物価変動の影響を除いた値である。

     

    日本は1990年後半に名目GDPはほぼ頭打ちし、
    2010年前後にはいくぶん減衰する動きを示している。
    その後、2012年に誕生した第二次安倍政権からは、
    増加傾向を示し1990年後半の水準に届きつつある。

     

    こうした経済指標を見てみると、
    安倍政権が誕生してから日本経済は確実に成長しており、
    このままの状況が続けば、日本の黄金期の最後と言われる1997年を超え、
    日本経済は長期不況から脱する可能性がある。

     

    しかし一方で、過去20年間何度もこの機会を棒に振ってきたのがこの国だ。
    その最大の理由は、嘘に塗れた誤った情報に基づく国民の政治に対する関与だろう。

     

    デフレ政策をしていた小泉内閣を熱狂的に5年も支持し、
    積極果敢な財政政策でリーマンショックへの対応をしていた麻生内閣を潰し、
    経済政策なき民主党政権を選んでしまった。

     

    安倍政権が幸運だったのは、
    前政権である民主党政権が野党不信を大衆に植え付けたおかげで、
    熱狂的支持なくして一強他弱体制が作られ、安定政権が可能になったことだ。
    これが、民主党政権以前であれば政策内容や経過の吟味ができない国民が、
    嘘の情報に踊らされ、「民意」という形で安倍政権を引きずり下していただろう。
    もしそうなっていれば、日本経済はまた迷走していたに違いない。

     

    しかし、この状況に暗雲が立ち込め始めている。
    森友・家計問題、自衛隊日報問題、度重なる議員の失言、
    政府への支持率は低下し、小泉ブームを思い出させる「小池ブーム」が起きている。
    国民がまた誤った選択をし、せっかく好転の兆しが見えている日本経済を、
    再び迷走させる可能性が日に日に高まっている。

     

    民主主義を採るのであれば、国民は国家の構成員としての自覚をもち、
    もっと勉強する必要があるだろう。
    日本経済にまつわるメディアの情報は、その殆どが嘘である。
    専門で経済学を学ばなくとも、ほんの少しだけ基本的な事を学び、
    過去を振り返ればその嘘は簡単に見破れるはずなのに、
    今の日本国民は、そんな僅かな勉強すら放棄していると言える。

     

    多くの国民にとって、経済はもっとも重要な関心事項だろう。
    またGDPは国防にも大きな影響がある。
    中国の軍事的脅威が増したのは、GDPが日本に拮抗した頃からだ。
    誤った選択で、日本経済をこれほど長期に渡り迷走させることがなければ、
    今頃、中国の軍事的脅威は無かったかもしれない。

     

    また同じ過ちを繰り返すなら、今度はこの国の存立が脅かされる事態になるだろう。
    今回は日本経済にまつわる嘘について考えてみたい。

     

     

    ■ニュースとはフェイク

    そもそも、なぜ嘘の情報がこれほど溢れているのだろうか?
    それを知るには、「新聞やTVは都合のよい事だけが発信されている」
    この事実を理解する必要がある。

     

    こんなことは、少し考えれば分かることだろう。
    自分達にとって都合の悪い記事を書く記者など最初からいない。
    そもそも「ニュース」という存在自体がフェイクだと言っても良いのである。

     

    政治家や芸能人、大企業の不祥事は徹底的に長期に渡り糾弾するのに、
    TV局や新聞社の不祥事の際は、申し訳程度に謝罪する程度で済ますのが当たり前だ。
    自分たちの不祥事を、自ら糾弾する事など人間には無理なのだ。

     

    ■日本経済が良くなると都合が悪い人達

    日本経済に関して嘘を発信するということは、
    「日本経済を停滞させたい」という意志があるから行われる。
    つまり、日本が好景気になると都合が悪いということだ。

     

    少しだけ注意して見てみれば分かる事だが、
    TVや新聞で日本経済について語る有識者と呼ばれる人たちは、
    多くの場合、不安を煽り、人々の対立を煽る事を述べる。
    「年金は破綻する」「国民は生まれた時から数百万の借金を背負っている」などなど。

     

    “社会不安”それ自体が彼らの飯のタネなのは疑いようがないだろう。
    不安があるから彼らはTVに呼ばれるのだし、本を執筆できる。
    政府が経済的に正しい政策をしていても、「これは正しい政策です」と言ってしまえば、
    彼らの仕事はなくなるのである。
    だから、報道メディアと言うものは社会不安がある方が好ましいのである。

     

    日本経済が低迷し迷走していても、彼らは経済的には何ら困らない。
    それどころか、より多くの富を手にすることができるとも言える。
    社会全体が貧しくなるなら、相対的に彼らの経済的優位性はより大きくもなる。
    日本を不景気にすることは、彼らの利に適っているのである。

     

    官僚機構も同様だ。
    民間の経済活動が停滞する程、国に対しての依存度が高くなる。
    景気が悪くなるほど、「増税が必要だ」という理屈に説得力を持たせることができる。
    そして増税をし、一部の企業や業界に“特例”として減税措置をちらつかせる。

     

    消費税が10%増税される時に導入される、「軽減税率」が分かり易い例だろう。
    食料品や教育費など、「生活に必要な最低限のもの」には、
    消費税を軽減(または非課税)にするという税制度だ。

     

    何を軽減税率の対象にするかを決めるのは官僚機構である。
    自分がビジネスをしている業界は、軽減税率の対象にして欲しいと考えるのが企業だろう。
    10%の消費税が課せられる業界は、ほぼ間違いなく売上は落ちる。
    だから、企業は自分たちの業界は軽減税率の対象にして欲しいと陳情し、
    その見返りとして、天下りポストなどを提示する。

     

    このように増税とは、官僚機構の権力を増大する。
    そして、増税する大義名分は不景気である方が作りやすいのである。
    だから、官僚機構は日本が好景気になると都合が悪く、
    むしろ不景気であるほど、彼らにとっては利があるのである。

     

    このように、「日本を不景気にしたい人」と言うのは決して少なくないのである。
    国民はまずこのことを抑えておくことが重要である。
    「国家、国民の為に尽くす」「国民の知る権利を代行する」、
    これは単なる建前に過ぎない。
    中には本当にこう考え、職務に当たる立派な人間もいるはずだが、
    そのような人間が、少数であることは誰でも分かるだろう。

     

    ■政治家にとっての景気とは?

    一方の政治家はどうだろうか?
    政治家にとって“景気”とは、票を獲得するための手段だ。
    「景気を良くしたのが自分の手柄」とすることで、票を獲得できる。
    政治家にとっての景気とはその程度の位置付けだろう。

     

    その意味では、多くの国民と利害は一致しているが、
    残念ながら、景気を良くすることに対する政治家の興味関心は低いだろう。
    報道機関や官僚機構が白だという事に対して、あえて黒だと言うほどの熱意はない。

     

    消費税増税はやむなしという世論なら、あえてその流れに逆らう政策は採らないだろう。
    流れに逆らうことが本当は正しい経済政策だと分かっていたとしても、
    余程の事がなければ、逆らうことはしない。

     

    日本は民主主義という制度が健全に機能している国であり、
    国民の意思に反した政策の実行は政治家には無理なのである。
    民主主義とは、「正しい選択」をする制度ではなく、
    「大多数が支持する選択」がなされるだけだ。
    だから、政治家を選ぶ国民が出来るだけ正しい選択ができる判断力が重要になるのだ。

     

    ■「借金大国日本」は本当か?

    さて、「日本が好景気になると都合が悪い人々」が流布している嘘のいくつかを見てみよう。
    最も悪質で、全ての元凶となっている嘘が、
    「日本は借金大国である」と言う嘘だ。

     

    この嘘を根拠に、「財政健全化」を目標とし緊縮財政を採るべきだとされている。
    そして、政府の支出はできるだけ削減する政策が実施されている。
    それでも、足りないという事で“消費税増税“は必要だとなっており、
    今や国民の多くがこのロジックに一定の理解を示しているという状態だ。

     

    もしも、「日本には大した借金はない」と言う事が分かれば、
    果たして国民は消費税増税に理解を示すだろうか?
    税金が安い事を喜ばない国民など皆無だろうから、皆が反対することは間違いないだろう。

     

    日本政府の借金は、2017年3月末時点の段階で1071兆円の残高となっている。
    この額は今世紀に入って約1.5倍に膨らみ、今後も当面は増え続ける。
    この数字はGDP比で230%以上、先進国では断トツのトップとされている。

     

    最初の嘘がこの「世界トップの借金」というものだ。
    日本政府(財務省)は日本の借金をできるだけ多く見せようと、
    他国では借金に含めていない科目を借金として計上している。

     

    まず、政府短期証券という科目があり、この額は約120兆円ほどだ。
    これは、一時的な資金不足を補うために発行する短期国債で、
    100%為替介入で使われる。
    為替市場で円売り・ドル買い介入を行なうときの資金調達で発行され、
    ドル資産の裏付けとして政府が短期証券を買うという仕組みである。

     

    ドル買いは実際には米国債を購入という形で実施され、その米国債には金利がつく。
    2012年野田政権以降、日本政府は為替介入していないが、
    以前購入した米国債に金利がつくと、
    それに見合う額の政府短期証券を発行する必要がある。
    日本は既に大量の米国債を保有しているので、政府短期証券の額は毎年増える。

     

    しかし、政府短期証券は単なる借金ではない。
    米国債という資産が裏付けとなっており、米国債を売ることが容易か困難かは別として、
    売れば返せる借金なのである。

     

    次に財政投融資という科目で、160兆円以上計上されている。
    これは、いわゆる特殊法人が作った赤字や、特殊法人の財源に使われてきたお金だ。
    特殊法人は国の機関ではないので、これを政府の借金に含めているのは日本だけだ。

     

    ちなみに、これら特殊法人、独立行政法人を民営化か廃止すれば回収できるのが、
    この財政投融資という科目である。
    そうやって回収しないのは、それら法人への天下りができなくなるからであろう。

     

    極めつけが建設国債だ。
    これは250兆円ほどあり、この20年であまり増えていない。
    建設国債とは道路などの交通インフラの整備や、ダムや堤防などの建設など、
    いわゆる公共事業に使われる予算だ。

     

    「公共工事のせいで日本の借金が増えた」とよく言われるが、
    それが事実なら、この20年であまり増えていない事はどう説明するのだろうか?
    公共事業のせいで借金が増えたのなら、建設国債残高は急増しているハズだろう。

     

    そして、建設国債は支払方法がガソリン税や自動車税、高速道路の利用料金で確立している。
    所得税や住民税、消費税などは支払いに使われていないのである。

     

    高速道路の利用料金で返済する借金を「政府の借金」と言っているのも日本だけで、
    外国では含めていない。

     

    こういった、諸外国が含めていない科目を、
    日本の借金から引くとその額は約460兆円にまで減少する。
    GDP比で表すと90%程度にまで減少し、先進国でも低い方になる。
    つまり、「日本は全く借金大国ではない」という事になる。

     

    ■国の借金とはそもそも何か?

    残った約460兆円にしても、そもそも「借金」という言葉が間違っている。
    「日本政府の債務=日本の資産」であり、
    仮に日本政府が1000兆円の借金をしているなら、
    必ず1000兆円の資産が国内のどこかにあるのだ。
    これは、複式簿記の考え方を理解している人であれば、直ぐにわかることである。

     

    日本人の個人資産は1400兆円あるが、そこには政府の借金(国債)も含まれている。
    だから、日本政府が借金を綺麗に返済すると、その分の個人資産が減る。
    個人資産をそのままに、政府の借金だけを無くすなら、民間がその分の借金を背負うだけだ。

     

    「国民が返さなければならない」と言う話も意味不明で、
    せいぜい借金の移動に過ぎない。
    このように国全体の借金はどこかに必ず存在するもので、
    増えたり減ったりするものでは無いのである。

     

    資本主義とは借金で成り立つ経済システムだ。
    日本人的価値観では「借金=悪」だが、借金をしない資本主義経済は衰退しかない。
    国家財政を個人の家計と同じに例えて考える事が、そもそもの間違いであり、
    国民を騙すトリックなのである。

     

    ■消費税という愚行
    そして、この嘘で国民を騙し導入したのが消費税だ。
    10%への増税は2019年に延期されたが、
    消費税増税は凍結しなければ日本経済の成長は有り得ないだろう。

     

    過去、消費税創設、5%、8%への2度の増税、
    何れの時も経済はマイナス成長となり、税収が増えることも無かった。
    識者と呼ばれる人たちは、消費税についてよく欧州を引き合いにだし、
    日本は低すぎるとしているが、アメリカには消費税は存在しない。

     

    中国は政治、経済体制が違いすぎるので対象外とすると、
    経済力世界1位のアメリカは消費税がなく、
    2位の日本は欧州に比べると遥かに税率は低い。
    そして、消費税が創設されるまでの日本経済は順調に成長していた。

     

    「アメリカには消費税と同等の小売売上税がある」
    このような事を言う識者も居るが、これも国民を騙す嘘だ。

     

    小売売上税は消費税とは発想も考え方も全く異なる。
    売上にかかるのであって、消費にかかるわけではない。
    この違いはとても重要なのである。

     

    日本の消費税の場合、製造、卸、小売りといった取引の各段階で
    各業者の売上に多段階で課税する。
    例えば設備投資で工場を建設しようとすると、その全てに消費税が課税される。
    法人税は赤字であれば払う必要はないが、消費税だけは必ず徴収される。

     

    アメリカの小売売上税は、小売段階だけで課税される税金だ。
    最終消費者が購入した時だけ課税されるのが、アメリカの小売売上税なのである。
    更に、再販する目的で商品を仕入れる場合には、この税金を納める必要はない。

     

    “消費”と言うのは、資本主義経済の最も基本的且つ、重要な要素だ。
    その消費に課税するなど、経済を停滞させるための行為にだと言って良いだろう。
    本来は消費税増税を凍結するだけでなく、消費税自体を撤廃すべきなのだ。

     

    経済を停滞させるだけでなく、税収の増加もない正に百害あって一利なし、
    それが消費税という税金だ。
    「日本が好景気になると都合が悪い人」の嘘に騙されてはいけない。

     

    ■外国は日本経済に貢献しない
    次の嘘は、「外需を取り込む」という嘘だ。
    具体的には輸出産業の振興や、海外旅行者の獲得といった政策を指す。

     

    冒頭に述べたように、日本のGDPは久しぶりに高い伸びを示した。
    しかし、輸出はマイナスであったし、観光客も成長には殆ど寄与していない。
    日本経済の8割が内需であり、外需は日本経済の成長に寄与などしないのである。

     

    GDPに寄与したのは内需で1.3%押し上げ、逆に外需は0.3%引き下げた。
    消費支出は2017年3月までは13ヵ月連続でマイナスだったが、
    総務省による6月の家計調査では、16ヵ月ぶりに拡大に転じた。

     

    個人消費は消費税が8%に増税された2014年3月に大きくマイナスになったあと、
    36ヵ月連続で増加していえる。

     

    個人消費は住宅や自動車などの購入も含むのに対して、
    消費支出は毎月の生活費などを指している。
    この個人消費と消費支出の乖離は、毎月の消費を切り詰めて、
    大きな支出をしていると判断できるだろう。

     

    公共投資は2016年度の補正予算の執行によって、5.1%の大幅増となり、
    この影響はとても大きいだろう。
    しかし、この効果は次の四半期では効果は薄まると思われる。

     

    一方でトヨタを代表とする自動車メーカーなどの輸出企業は、
    円安の追い風をうけて、大きな利益を上げてる。
    外国人観光客は、日本国内で物やサービスを購入しても自分の国に帰ってしまうので、
    日本国内で自動車を生産して輸出することと変わりはない。

     

    この外国人観光客の国内消費額は、2016年で3兆7476億円と過去最高で、
    恐らく2017年はこの記録を更新するだろう。
    しかし、こんな数字がいくら増えても日本のGDPには寄与しない。

     

    輸出が増えても日本経済が成長しないのは、第一に変動相場制によって、
    貿易黒字が相殺されてプラスマイナスゼロになるからだ。

     

    日本の向上で1兆円分の自動車を生産し輸出すると、
    1兆円分のドルが円に換金され、その結果として1兆円分の円高となる。
    円高になると日本株は値下がりし、輸出は減少するので、
    結果的に儲けた1兆円は消えてしまう。

     

    このように現代の変動相場制では、輸出や外国人観光客でGDPを増やし、
    経済を成長させることは不可能なのである。

     

    観光を含む輸出にはもっと重大な問題がある。
    それは、日本の労働力を外国人の為に使ってしまうことだ。

     

    例えばトヨタが1000人を雇用して、
    100万台の自動車をアメリカに輸出するとすると、
    この1000人はアメリカ人の為に自動車を生産し、日本の為には働いていない。

     

    お金というただの紙きれを得る代わりに、
    アメリカは自動車100万台という資産を得る。

     

    太古の昔から輸出で大国になった国は存在しない。
    ギリシャもローマ帝国もアメリカも、世界から物を輸入して大国の地位を手に入れた。
    日本という限られた人口と資源しかない国で、
    労働力や資源を外国のために使うのは理に適っていないと言えるだろう。

     

    日本人が日本人の為に自動車を作り売ると、
    買った人は、自動車という資産を手に入れ、様々な消費活動に購入した自動車を活用する。
    つまり、業者側も客側も両方で経済に貢献することになり、
    GDPへの貢献度も非常に高くなる。

     

    日本の労働力を日本の為に使って、初めて日本の経済成長が達成されるのである。
    世界で観光大国と呼ばれる国を見てみると、
    アメリカとフランスを除くと、混乱した貧困国ばかりではないだろうか?
    ギリシャやイタリアにいくら観光客が押しかけても、
    それで国が発展したとは言い難い。

     

    海外からの旅行客を増やすために、
    日本政府は中国やインド、ロシアなどへのビザの発給条件を緩和した。
    こんな無駄なことに労力を割く位なら、
    日本人が国内旅行をしやすくするような施策をすべきだ。

     

    ■「貿易立国」と言う嘘
    日本製品が海外で売れることも、日本に観光客が来ることも、
    それ自体は悪い事ではないだろう。
    しかし、国を挙げて推奨すべきことではない。

     

    1980年代、日本製品が世界を席巻した結果、
    欧米諸国は膨大な対日貿易赤字を抱えてしまった。
    その原因を日本の保護貿易主義だとし、ジャパンバッシングの嵐が吹き荒れた。

     

    しかし、当時の日本企業も政府も輸出に注力などしていなかった。
    日本人の為に、日本人が懸命に様々な商品を作っていたのだが、
    品質が優れていたため、勝手に外国人が欲しがったに過ぎない。

     

    「資源の無い日本は、外国から資源を輸入しそれを加工して輸出することで発展した」
    このように学校で教わった人も多いのではないだろうか?
    いわゆる「加工貿易」と呼ばれるものだが、実はこれ自体が嘘である。

     

    「外国から資源を輸入して、日本人の為に製品化して成長した」
    これが戦後の正しい日本の姿である。

     

    ■人口減少は悪なのか?
    外需を取り込むことを正当化する理由が、「人口減少化社会」だろう。
    これが3つ目の嘘である。

     

    人口が減少するのは事実だろうが、それをもって「このままだと衰退する」は嘘だ。
    「人口減少」と「国の衰退」を直結する考え方は、
    国民を騙しやすい故に多用されている悪質な嘘であると言える。

     

    そもそも、日本の人口が減ると誰がどう困るのだろうか?
    独裁者の虐殺によって人口が減るわけでもない、
    食料がなく餓死者が大量に発生して減るわけでもない。

     

    逆に、日本人は世界で最も長寿である。
    「長く生きたい」という願望は、人類が共通して持つ願望だろう。
    その願望が世界で最も叶っている国が日本である。

     

    老人が増え、若者が減ることが問題なのか?
    「現役世代3人で老人1人を支える時代になる」などと言われるが、
    これが問題だと言うのなら、生産性の向上で解決できる問題だ。

     

    現在の生産性を1とするなら、それを1.2や1.5にする程度で解決する。
    ロボットやコンピュータの発達で、この程度の生産性の向上は容易に実現するだろう。

     

    ■人口減少は発展のトリガー
    そして歴史を見ると、人口減少とは好景気に繋がることが多いのだ。

     

    欧州では13世紀にモンゴル帝国の侵略と支配を受け、
    ペストも持ち込まれて人口が半分に減少した。
    この影響は長く続き、完全に回復するのに400年の時間を必要とした。

     

    人口減少が悪い事だと言うなら、13世紀から17世紀までの欧州は暗黒の時代だろう。
    しかし、史実はどうだろうか?
    ルネサンスが起こり、ガリレオのような天才が現れ、大航海時代が到来、
    欧州は世界の覇者となり大繁栄期に入っていく。
    そして、その繁栄は産業革命で頂点を迎える。

     

    人口が半減したのに、逆に文明は発展し国は強くなったのである。
    そして、これは奇跡でも偶然でもなく、当たり前の事なのである。

     

    日本でも大東亜戦争中、幕末、鎌倉時代、縄文末期、石器時代末期で
    大きな人口減少が確認されている。
    それぞれの時代の直後には必ず大きな変化が起きて、
    生産性の高い別の社会に移行している。

     

    幕末・明治維新は、人口減少を生産効率化で補おうとしたと言い換えられる。
    同じ時代、隣の中国も日本と同じように西欧列強の圧力を受け開国をしたが、
    西欧文明への対応は日本に比べて、遥かに遅かった。
    中国には膨大な人口、労働力があったのが、この日中の差を生んだ1つの要因だろう。

     

    鎌倉時代の前後で朝廷や貴族による非生産的な律令国家から、
    武士による農業国家に代わっている。

     

    戦時中は殆どの若者は戦地に出兵し、工場や農地は女性と老人で支えられていた。
    戦争が終わっても若者の多くは直ぐには帰還できず、
    戦時中から戦後の物不足を招いた。
    そして、その直後に機会の導入による生産性向上が行われ、高度経済成長に繋がっていく。

     

    人口が減少した時期の後には、必ずこのような変化が起こっているのである。
    生産者の減少を機会の進歩や、社会体制の変化で解決しようとするのである。

     

    このように、欧州で人口減少した結果、欧州が発展したのは当然の事でなのである。

     

    ■人口減少は好景気を呼ぶ
    それにも関わらず、日本では「人口減少は社会の衰退を招く」というような、
    嘘が溢れかえっている。
    人口減少など放っておけば良い、とまでは言わないが大騒ぎする必要は全くない。
    むしろ問題は、その嘘に乗って不必要な対策を採る事にある。

     

    先の述べた「外需を取り込む」なども不必要な対策の1例だ。
    他にも「外国人労働者を受け入れて労働力不足を解消する」や
    「女性を労働力として活用する」なども、不必要な対策である。

     

    人口減少では消費者はあまり減らないのに労働者が大きく減少する。
    その結果、好景気になる。

     

    現在の就業者数は90年代後半以来の高水準で、失業率は3%を割った。
    バブル崩壊後、ここまで労働需給が逼迫したのは初めてであり、
    労働市場から失業者はどんどん減り、労働者の価値は上がり続けている。
    もう企業が労働者を低賃金や非正規でこき使える時代が終わり始めている。
    これから労働者の給料は本格的に上がり始めるだろう。

     

    そんな時に、外国人労働者を入れたらどうなるか?
    労働力はまた余る事になり、低賃金や非正規が増える状態に逆戻りである。
    「働く女性が輝いている」などという価値観を作り、
    働きたくない女性を働かせるような政策も経済を悪化させるやり方だ。

     

    人口減少に対して余計な対策をしなければ、賃金は上昇し景気は好転する。
    足りない労働力は技術の進化が解決してくれる。
    景気が良くなれば、子供を産もうとする家庭は間違いなく増える。
    少子化対策の一番の処方箋は、景気を良くする事であろう。

     

    ■政府が行うべき経済政策とは何か?
    「借金大国日本」
    「外需を取り込む」
    「人口減少で日本は衰退する」
    今回取り上げた、日本経済にまつわる嘘はこの3つだが、
    他にも大小さまざまな嘘が溢れ、間違った方向に日本社会は誘導されている。

     

    そもそも政府が経済面で行う事とは何か?
    それは、「国民が一生懸命に働けるインフラを整備すること」これに尽きる。
    道路や鉄道などの交通インフラ、電気やガスなどのエネルギーインフラ。
    そして、人材を育てる教育インフラ。
    これらインフラを整備することが、政府がやるべき経済政策だ。
    逆に言うと、これ以外はやる必要はない。

     

    「所得の再配分」などもそれほど重要な事ではない。
    努力し運を掴み成功した者が、より大きな富を手に入れることは当然だ。
    その結果が格差になるのも、資本主義経済を採るなら受け入れなければならない。
    問題は、手に入れた富や力が子孫に継承されることにある。

     

    「親が成功者だから」といった理由だけで、
    有利な状況で競争に参加する事はできる限り是正すべきだろう。
    できるだけ公平な競争環境の整備もインフラ整備と言える。
    資産に対する課税はもっと進めるべきだろう。

     

    公共事業もどんどん行うべきだ。
    少なくとも1990年代の水準には公共事業費は戻す必要があるだろう。
    公共事業はインフラ整備の根幹を成すものであり、政府にしかできない。

     

    政府が成長分野を定めて投資するなどという事はまず失敗する。
    人への投資などと言う事も、成功する事はないだろう。

     

    一方で消費税のようなものは即刻廃止することが望ましい。
    少なくとも10%への増税は凍結すべきだろう。

     

    私は日本経済を良くするには、このような事を実行すれば良いと考えているが、
    多くの識者と呼ばれる人たちの意見とは真逆だろう。
    ただ、その識者たちの意見を安易に納得する人たちは考えて欲しい。

     

    「消費税が導入されて経済は良くなったのか?」
    「公共事業を削減して経済は良くなったのか?」
    「女性や外国人を労働力にして経済は良くなったのか?」
    「日本は借金で破綻すると、何年間言われ続けているのか?」

     

    日本経済が輝いていた時代に消費税は無かったし、
    公共事業は日本全国で大規模に行われていた。
    外国人労働者も外国人観光客も、殆ど目にすることはなかった。
    40代以降の女性を職場で見る事も少なかった。

     

    私にはこの約20年間の日本の経済政策は、
    いわば逆噴射しながら離陸しようとしている飛行機のように思える。
    この事は、小難しい経済学の知識がなくとも、
    常識を働かせて普段の自分たちの生活を見つめ直すと分かるはずだ。

     

    ■「経済」とは何か?
    日本経済が不調である方が得をする人間は、少なからず存在する。
    そして、そういった人間は支配階級の側に多いものだ。
    歴史を見ても、支配者が被支配者を従属させるための
    もっともポピュラーな方法は、「民を貧しくする」ことだ。
    貧しければ力をもてず、支配者側の権力は安泰なのである。

     

    「経済」という言葉の語源は、「経世済民」であり中国の古典に登場する語だ。
    「世を治め、民を救う」を意味する。
    つまり民(国民)を救うために様々な公的対策を行わんとすることが「経済」だ。

     

    ところが、現代ではこの「経済」の意味が変わってしまった。
    「経済とはお金を稼ぐこと」このような意味で捉えられている。
    だから、例えば作った道路に殆ど車が走らなければ、それは「無駄」だとされる。
    そして、「無駄は削減すべきだ」となる。
    民を救う事と、作った道路の交通量に一体どれほどの関係性があるだろうか?

     

    利益を追求する民間企業の経済活動と同じに捉えられている。
    そもそも、経世済民の意味からすると、経済活動とは“公”がすることのみを指すはずだ。
    にも拘わらず、経済学では経済政策を考える分野は「公共経済学」と、
    わざわざ「公共」という言葉を付けている。
    本来は「経済=公共」であり、公共ではない経済など有り得ないのだ。

     

    現代日本では、このように本来の精神から外れた「経済学もどき」を学んだ、
    プロの経済学者が幅を利かせ、国民に嘘を刷り込んでいるのが実情だろう。

     

    彼らプロの経済学者が「財政出動(公共事業)は愚かな経済政策だ」と断じ、
    そのことが、日本で財政主導できない重要な要因となっている。

     

    その典型が「マンデル・フレミングの法則」なる1999年にノーベル賞を受賞した理論だ。
    「現代では財政出動をしても経済効果はない」ということを
    “証明”したことになっている理論だが、
    多くの経済学者はこの理論を根拠に財政出動に対して否定的だ。
    が、この理論をよくよく吟味すると「インフレ」であることが前提となっており、
    「デフレ」という状況には全く通用しない。

     

    そもそも、「デフレ不況」と言う状況は、これまで人類は経験したことがない。
    これまで人類が経験した不況とは、全てインフレ下に起きたものであり、
    既存の理論など通用しない。

     

    ■経済学は「えせ科学」
    またノーベル経済学賞は、物理学賞などと同列に扱えるか甚だ疑問だ。
    物理学や化学、生理学・医学は具体的に「人類の為に偉大な貢献をした」者に与えられる。
    例えば第一回物理学賞を受賞したレントゲンはX線を発見し、
    医療や工業の発展に多大な貢献をした。
    日本で成人した者で、レントゲン写真を撮った事がない人は皆無だろう。
    物理学賞を共同受賞した3人の日本人研究者が発明した「青色ダイオード」は、
    LEDと呼ばれ、照明や携帯電話のバックライトなど幅広く実用化されている。

     

    一方で経済学賞を受賞した人に、そういった「偉大な貢献」はあるだろうか?
    最近の経済学賞の受賞理由を見ると、
    「労働経済におけるサーチ理論に関する功績」
    「資産価格の実証分析に関する功績」など、立派そうな「功績」が並ぶが、
    この経済学者たちのおかげで労働者の生活が楽になったとか、
    バブル崩壊を防ぐ事ができたとか、貧困を減らす事ができたという話はない。

     

    それどころか、リーマンショックやその後の財政緊急危機を予測した経済学者は、
    殆どいなかった。

     

    経済学を含む社会科学について、1965年にノーベル物理学賞を受賞した
    リチャード・ファイマンは以下のように述べている。

     

    「科学が成功したので、えせ科学が現れました。
    社会科学は、科学ではない科学の一例です。
    科学の形式にならい、データを集めに集めるのですが、何の法則も発見できません」

     

    経済学を学んでいる人には申し訳ないが、私は経済学に対する彼の批評は正しいと思う。
    経済学者の言う事は当たることは殆どなく、役に立つことがない。
    経済学などよりも簿記を勉強する方が遥かに有益だろう。

     

    その程度の「えせ科学」に権威を感じ、
    無条件に識者の言う事を信じ、誤った政治への関与をしているのが今の日本国民だ。

     

    ■自分で考えれば中学生でも嘘は見抜ける
    形のない権威を妄信するのではなく、常識を働かせて自分の頭で考えれば、
    嘘に惑わされる事無く、正しい選択ができるはずだ。

     

    「税金は安い方が良いし、税金が上がれば出費は控える。
    それなのに消費税を上げれば税収が増えるなんてあり得るだろうか?」
    このような疑問は中学生レベルでも十分にもてるだろう。

     

    そして、日本人は皆等しく、中学は卒業しているのである。
    嘘を見抜くことは容易いはずだ。

     

     


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