安倍改造内閣の挑戦とは

2019.09.19 Thursday

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    JUGEMテーマ:政治全般〜国会・内閣・行政

     

    2019年(令和元年)9月11日、新しい閣僚による政府が発足した。
    メディアでは、「第四次再改造内閣」など様々な呼称があるが、
    正確には「第四次安倍第二次改造内閣」と呼ぶ。

     

    多くの国民はあまり意識してはいないが、
    内閣総理大臣は衆議院選挙の都度、総理大臣の職を退く。
    そして、選挙で選ばれた衆議院議員達で新しい内閣総理大臣を指名する。
    この7年間、ずっと安倍晋三氏が内閣総理大臣だが、
    これは衆議院選挙の都度、指名され続けている為であり、
    だから彼は第90代、第96代、第97代、第98代の内閣総理大臣なのである。

     

    国民の視点から見ると、2012年12月の第二次安倍政権発足から今に至るまで、
    安倍晋三内閣総理大臣を長とする日本政府の形は変わっていないのだが、
    閣僚の面々は頻繁に変わっている。
    日本の内閣は、凡そ1年程度の間隔で閣僚、即ち大臣の面子が大きく変更される。
    これが「内閣改造」だ。

     

    安倍総理は通算5回の内閣改造を実施しているが、
    衆議院選挙終了後に新たに総理大臣に就任した際にも、閣僚の面子は変更しているので、
    2012年12月から今に至るまで、計8回閣僚は変更されている。

     

    副総理兼財務大臣の麻生太郎氏、官房長官の菅義偉氏の2名は、
    第二次政権発足から変わっていないが、他の大臣は毎回変更されている。
    かつては総理大臣すら頻繁に交代しており、
    この頻繁な閣僚の変更は、日本が長期戦略を構築するにあたっての大きな障害だ。

     

    日本で頻繁に総理大臣を含んだ内閣の構成が変更される理由は何だろうか?
    1つは、政権与党である自民党に組み込まれたメカニズムだ。
    自民党のトップである総裁は、自民党内の選挙で選ばれるが、
    この総裁選は3年毎に実施され、同じ人物が総裁になれるのは3期までだ。
    そして、自民党総裁の任期がくれば、首相在任中であったとしても総裁選が実施される。
    この総裁選で敗れれば、衆議院選挙の有無に関わらず総理大臣は交代となる。

     

    現役の総理大臣が、自民党内の総裁選で敗れる事は殆ど無いが、
    三期目の総裁であれば、当然総裁選挙に出馬することはできないので、
    自動的に総理大臣は交代ということになる。

     

    民主党政権は、鳩山、菅、野田とほぼ1年毎に総理が変わったが、
    これも、民主党という政権与党内部の事情からだ。
    民主党の構成員は、「国会議員になりたい人」の野合集団でしかないので、
    時々のトップが失敗をし、国民の支持を失うと即座に引きずり降ろそうとする。
    だから、民主党の代表が頻繁に変わる事になり、
    その結果、総理大臣も頻繁に変わってしまうことになる。

     

    共産党を除く全ての政党は、自分たちの党内に首相を交代する仕組みを内包している。
    一国の首相を、それを支えるはずの政権与党内に、
    引きずり下ろす仕組みが存在する事自体が奇妙であり、
    連立与党、国民を無視した所業と言える。

     

    総裁選や代表選以外でも、党内抗争により与党議員が首相の退陣を要求する事は頻発する。
    党内支持を安定させるために、現職の総裁や代表、即ち内閣総理大臣は、
    内閣総理大臣だけが持つ人事権を行使する。
    これが、「内閣改造」の本当の意味だ。

     

    特に今の安倍政権のように長期政権で、
    野党に政権与党の座を奪われる可能性が皆無となれば、
    「次は自分が大臣だ」と思う議員が党内に溢れかえる。
    そういった者達に大臣ポストを与えなければ、
    安倍総理が総理大臣の座に居続けることは難しいのである。

     

    こういった日本の政党が抱えるメカニズムを知れば、
    安倍政権を「独裁的」と批判するメディアの主張が如何に的外れなものかが分かるだろう。
    共産党を除くどの政党が政権与党になったとしても、
    日本で真の意味で独裁的な政治が行われることなど有り得ないのである。

     

    とは言え、今回の安倍改造内閣はこれまでに比べると、
    安倍総理がやりたいと思う事を、多少強引にでも進める事ができる筈だ。
    何故なら、これが安倍総理の最期の任期だからだ。
    3年毎に半数ずつ改選される参議院選挙が7月に終わったばかりなので、
    衆議院を解散しない限り、次の国政選挙はしばらく無い。

     

    また、安倍総理自身の自民党総裁任期は2021年であり、
    自民党内のルールを変えない限りは、最長でも2021年で安倍政権は終わる。
    2017年に総裁任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に変更したが、
    これを「連続4期12年」に変更することは考えにくい。
    何故なら、前回の党則改正は安倍総裁が最終的な意思決定者として行ったものだからだ。
    党内や自民党支持者から、続投を求める強烈な声が沸き上がれば別だが、
    自分で変えたルールを再度変更する事は常識的には行わないだろう。

     

    別の総理・総裁を挟んでから再度返り咲く可能性はあるが、
    少なくとも2012年から始まった安倍政権は、最後の2年間となる可能性が極めて高い。
    次の総裁選に出馬しないのなら、党内抗争に配慮する必要性は薄くなり、
    黙っていても最大2年で総理から退く状況で、
    党内から、「安倍おろし」の声が上がる事態も考えにくい。
    余程大きな不祥事がなければ、今回の改造内閣の面々で任期を終えるだろう。

     

    日本の歴代総理で、これ程まで総理がやりたいことを進められる環境が整った例は少ない。
    安倍総理に“そのつもりがあるなら“、日本の未来を決める重要な2年間になる筈だ。
    安倍総理は今回の内閣を「挑戦と安定の内閣」と称した。

    新しい日本政府は何に挑戦するのだろうか?

    なぜ安定を強調したのだろうか?

    恐らく最後となるであろう、安倍改造内閣の見ているものを考える。

     

    ■小泉進次郎とは何者か?

    さて、今回の閣僚人事で注目すべきポイントはどこだろうか?
    地上波や新聞は、初入閣を果たした小泉進次郎環境大臣を挙げるが、
    私は小泉進次郎氏の入閣に些末な事だと考えている。

     

    小泉進次郎氏は、国民のからの人気は異常に高いが、
    実際に何かを成した実績があるわけでもなく、
    何より彼自身の理念や主義・主張が全く見えてこない。
    なぜここまで人気があるのか?話題になるのか?それすら不明な人物だ。

     

    但し、政治家にとって「人気がある」という事は大きな重要な資質だ。
    殆どの政治家は、選挙に当選すると直ぐに次の選挙に向けての活動が始まる。
    これは、選挙を前提とした民主主義システムの欠陥と言えるだろう。
    政治家は選挙に落選すると、平たく言うと無職になるわけであり、
    選挙対策を第一に考える事を非難することは出来ない。
    「国民のため」と政治家たちは言うが、殆どの場合これは建前に過ぎない。

     

    だから、「選挙に強い」と言う事は、
    それだけ「国民のための活動」ができる時間がある事を意味する。
    自民党の閣僚人事は、基本的に当選回数が多い順で決まっていくが、
    これは合理的であると評価できる。
    「当選回数が多い=選挙に強い」と言う等式が成り立ち、
    選挙に強いなら、国民の為に多くの時間を充てる事ができる。

     

    大臣になると公務が増え、選挙活動に費やせる時間は殆ど無くなる。
    多くの国会議員は週末や国会会期中以外は、地元の選挙区に戻るが、
    政府のメンバーになるとこうはいかない。
    選挙区に強固な基盤があることは、大臣になる必須条件と言えるだろう。

     

    小泉進次郎氏は、日本で一番強固な選挙基盤を持っていると言っても良い。
    そして、彼はまだ30代であり政治家としてはかなり若く、
    これから偉大な政治家になる可能性は十分に秘めているだろう。

     

    但し、もしも彼が大衆に迎合し、耳に心地よい言葉を発するだけで、
    それが人気の源泉なら、他の有象無象の政治家たちと同じ程度の価値しかない。
    政治家に限らず、リーダーとは多くの人が拒絶反応を示す決断でも、
    それが必要であるなら、その必要性を”許された時間内で”説明、説得し実行する事が必要だ。

     

    多くの人が支持することを実行するのは、実は誰にでもできる事だ。
    そして大衆は常に間違えるものであり、
    国民の支持が圧倒的である程、それが間違いである可能性は高くなる。
    これは、平等に一人一票を与えている今の民主主義制度が抱える構造的欠陥だろう。

     

    安倍総理は戦後最長の在任期間になることがほぼ確実だが、
    安倍政権の支持率は高くても50%前後であり、だからこそこれだけ長く続いている。
    そして、少なくとも平成以降では、「最もマシな政権」だろう。
    対して、72%という高い支持率でスタートした民主党政権はどうだっただろうか?
    平成以降どころではなく、戦後最悪の政権であったことは疑いの余地がない。

     

    今の小泉進次郎氏は、自身の選挙区以外でも圧倒的な人気を誇っている。
    そして、もしも彼が総理大臣になったとしたら、
    民主党政権に匹敵する支持率を“最初は”得る事になるだろう。
    ならば、今の彼は国益にかなう大臣でも政治家でもない可能性が高い。

     

    もしも彼が、賛否が拮抗、あるいは反対が多いビジョンや政策を掲げ、
    それでも選挙に勝ち続ける事ができるなら、本当に日本の為になる政治家になるだろう。

     

    そして、彼がそんな政治家になれるかどうかは、国民に依るところが大きい。
    若いリーダーを求めるなら特に、「国民が育てる」という気持ちが大切になる。
    今の民主主義制度の下で政治家になる人物とは、
    「我々大衆と何ら変わらない」という点は常に抑えておく必要がある。

     

    要するに「政治家に期待しすぎない」事が重要なのである。
    それほど高い能力を持っていなかったとしても、
    人間は1つの事をやり続けていれば成長はするし、立場は時に人格をも作る。

     

    本当に小泉進次郎氏を将来の総理大臣にしたいのなら、
    今は国民が育てる気持ちで彼を見てあげることだ。
    下らないスキャンダルで政治家を潰すことは、大変な無駄なのである。

     

    ■対米シフト

    小泉進次郎氏の初入閣はそれほど注目すべきポイントではない。
    真に注目すべきは河野太郎防衛大臣、茂木敏充外務大臣だろう。
    この両名は、前回は外務大臣、経済産業大臣をそれぞれ任されていた。

     

    彼らは外務大臣、経産大臣だった時、
    剥き出しの反日姿勢で敵対行動を繰り返し続ける韓国に対して、
    「正しい姿勢」で対応してきた。
    なぜかこの姿勢を、国内メディアは「韓国に対して強硬な姿勢」と評し、
    その事をもって、彼らの今回の人事を「断韓シフト」などと言っているが、
    これは、日本の報道機関とは到底思えない韓国の側に立った分析だ。

     

    日本という大国にとって、韓国とは本来は取るに足らない存在であり、
    そもそも、これまでの日本の対応が異常であり、間違いだったのである。
    安倍政権は韓国に敵対しておらず、正しい距離感に立ち戻っただけであり、
    これは本来なら難しい事ではない。
    方針さえ閣内で共有できているなら、誰が外務大臣でも実行できるだろう。

     

    河野氏、茂木氏に対する人事は対韓国を主眼においたものではなく、
    アメリカとの関係を主眼に置いたものであると私は考えている。

     

    ■注視すべきアメリカの行動
    安倍総理とトランプ大統領との関係は良好で、日米蜜月と言われているが、
    実際にアメリカが日本にとって好ましい行動をとってくれているかと言うと、
    必ずしもそうではない。

     

    トランプ政権の北朝鮮に対しての姿勢は、必ずしも日本が望むものではない。
    最近、北朝鮮は短距離ミサイルの発射を繰り返しているが、
    トランプ大統領はこれを事実上容認する姿勢であり、
    今のアメリカは「アメリカ本土に届くミサイルを作らない」という前提付きで、
    北朝鮮の核保有を認める可能性が高まっている。

     

    これは日本にとっては、重大な懸案事項だ。
    北主導での朝鮮半島統一の現実地味は日に日に高まっており、
    もしそうなれば、核を保有する反日国家がすぐ隣に誕生することになる。
    日本の安全保障を根本的に考え直す必要が生じるが、
    今の日本はそういった議論が可能な土壌が全く整っていない。

     

    先日発表されたボルトン大統領補佐官の解任は、
    日本にとって都合が悪い半島情勢が誕生する可能性をまた1つ高めた事態だ。
    ボルトン氏は、トランプ大統領の周辺で唯一の北朝鮮強硬派であり、
    日本の利害と一致した考えの持ち主だった。
    対ロシア、対イラン、対シリアに対しても強硬姿勢であり、
    これも日本の利益と一致するものだ。

     

    特にロシアとの北方領土交渉を進展させるには、ロシアが経済的に困窮する事が欠かせない。
    アメリカとロシアの敵対が深まるほど、ロシアは経済的に困窮し、
    ロシアは北方領土問題で譲歩する可能性が出てくる。
    アメリカとロシアが融和すれば、北方四島が一島でも返還されることは無いだろう。

     

    一方で、トランプ政権が明確に中国と対決する姿勢を示している事は、
    日本の国益にかなうものだ。
    平和ボケが深化している現代日本では、
    「みんな仲良く平和が一番」といった寝言が氾濫しているが、
    日本の安全保障が高いレベルで確保され、経済的にも発展するには、
    かつての米ソ冷戦構造のような緊張状態が持続している状態が望ましい。

     

    冷戦時代、アメリカが軍事的にソ連に対して優位に立つためには、
    日本の協力が欠かせなかった。
    だから、日本は安全保障の一切をアメリカに任せ、経済発展に専念できた。
    現代日本の豊かさとはそうやって作り上げたものだ。
    だが、冷戦の終結から日本経済は停滞する。
    ソ連という敵が消滅した世界において、
    アメリカが日本の安全保障を肩代わりする理由が無くなりつつある。

     

    米中の新たな覇権争いは、既に第二の冷戦と言える次元に突入しつつあり、
    これは日本にとって歓迎すべき状況だろう。
    中国の太平洋方面への拡張を抑えるには、日本という前線基地は欠かせない存在であり、
    米ソ冷戦期のように、アメリカにとっての日本の重要性は高まりつつある。

     

    但し、ここで日本の舵取りを誤ると大変なダメージを被る。
    最悪、前線で日本人が血を流す事もあり得る。

     

    冷戦時代に起きた、様々な地域紛争はその殆どが米ソの代理戦争だった。
    核保有国である米ソの直接対決は、核戦争に発展し、その先に待っているのは人類滅亡だ。
    だから、米ソ両国は世界各地で代理戦争を行わせた。
    日本がそういった「アメリカの駒」にならない為に、細心の注意が必要なのである。

     

    河野氏、茂木氏は共に米国の大学を卒業しており、アメリカに太いパイプを持っている。
    当然、英語も堪能であり通訳なしで意思疎通が可能だ。
    そして両氏とも、将来総理大臣になるかは別として、自民党の要職を担う立場の人物だ。
    安倍政権の次の政権でも、自民党が与党を維持し続けるなら、
    政府や自民党の中核を担う存在として要職を任される事は間違いないだろう。

     

    ■多くの血を流して得た教訓

    世界地図を俯瞰した時、日本と共に歩める国はアメリカしか無いのは明らかだ。
    この事は明治以降、何も変わっていない。

     

    ロシアと中国は大陸国家でありランドパワー国家だ。
    朝鮮半島は、この2つのランドパワー国家の影響圏から逃れる事はできない。
    歴史認識や国民性の違いがこれ程までに大きくなかったとしても、
    朝鮮半島国家は最後には中国やロシアの側に立つ。

     

    ランドパワー国家は、自国に必要な資源を交易ではなく自給自足で得ようとする。
    「国家は自給自足するために、その資源を支配下におく権利がある」
    このような考えが、ランドパワー国家の行動原理だ。

     

    一方で日本やアメリカのような国家は海洋国家でありシーパワー国家だ。
    シーパワー国家は、自国に必要な資源を交易で得ようとし、
    交易路の確保のために強力な海軍力を必要とする。

     

    近年、中国の海洋進出が盛んだが、これはシーパワー国家のそれとは意味が違う。
    中国の海洋進出とは太平洋や東シナ海、南シナ海といった海に隣接する資源国を
    支配下に治めようと企図しているのであって、
    貿易ルートの確保を目的としたシーパワー国家のものとは根本的に異なる。

     

    そして、ランドパワーとシーパワーは決して相容れる事は無い。
    これは歴史が証明している事実だ。
    欧州における代表的なシーパワーはイギリスであり、
    ランドパワーの代表はフランスとドイツだ。

     

    第二次世界大戦でフランスとイギリスは同盟国だったが、
    この両国は歴史的には敵対している状態が通常だ。
    たまたま、ヒトラーという共通の脅威が出現したから手を結んだのであって、
    イギリスとフランスが相容れる事はない。
    そして、EUとはランドパワーの連合だとも言え、
    EUからシーパワーのイギリスが離脱するのは必然とも言える。

     

    シーパワー国家である我が国と共に歩めるのは、同じシーパワー国家しかない。
    イギリスも盟友となり得る存在だが、イギリスとは距離が離れすぎている。
    だが、長期的には日英同盟の復活を目指すべきだろう。

     

    東南アジア諸国にはシーパワー国家が幾つか存在するが、
    残念ながら、欧米の植民地時代により時間を奪われた彼らは、
    日本と並んで歩ける程の力は無い。
    東南アジアのシーパワー国家を導くのは日本の役割と言っても過言ではない。

     

    そうなると、我が国が共に歩めるのはアメリカ合衆国しかない。
    それなのに、大東亜戦争で日本は彼らと戦うという愚を犯してしまう。
    もっとも、これは日本に一方的に非があるわけではなく、アメリカの過失も大きい。
    日米両国はもう二度と、あのような過ちを繰り返してはならない。

     

    ■真の独立を勝ち取る好機

    トランプ政権の誕生は大局的には日本にとってプラスであり、
    今のアメリカなら日本の軍備増強、即ち国防における対米依存度を下げる事も容認される。
    これまで、日本が自国の国防力を高める事に著しい制限を課せられていたのは、
    憲法9条が最大の理由ではなく、本当はアメリカの意向だ。
    日本が核武装する事も、空母や攻撃型ミサイルを保持することも、
    アメリカの許可が必要なのであり、その意味において日本は今でもGHQ支配下だ。

     

    つまり、今の状態は真に日本の独立が達成されるかもしれない好機だ。
    しかし、独立に至る過程でアメリカが日本に疑念を持つような事があってはならない。

     

    これをやってしまったのが戦前の日本だ。
    日露戦争の勝利はアメリカとイギリスの助けがあって成し得たものであることを忘れ、
    当時の外務大臣であった小森寿太郎は、
    満州の権益を事実上日本が独占するような姿勢をとった。
    帝国海軍は仮想敵をアメリカに定め、国際的な軍縮の流れに抵抗し続けた。

     

    この結果、アメリカは日本に対して疑念を抱き敵意を募らせ、真珠湾攻撃へと導いていく。
    歴史的に見ると、昭和期には既に対米戦回避は不可能な状態だったのであり、
    あの戦争を回避できなかった最大の原因は、日露戦争後の外交政策、国防政策の誤りだ。

     

    外交と国防を所管するのが、外務大臣であり防衛大臣だ。
    今の世界情勢を考えると、この2つの大臣ポストの重要性が分かるだろう。
    だからこそ、安倍総理は自分が退いた後のアメリカとの関係をも見据えて、
    アメリカと渡り歩ける能力を持った、河野氏、茂木氏という2人の次のリーダーを、
    防衛大臣、外務大臣の職に任命したのだろう。

     

    日本国民は、この新しい二人の大臣が何を成すのかを注視する必要がある。
    彼らが戦前のように間違うと、今度こそ日本という国は消滅してしまうかもしれない。

     

    ■強い大和民族復活のために

    高市早苗総務大臣、萩生田光一文科大臣の両名もポイントだ。
    この2人に課せられた最大のミッションは、放送改革と教育改革だろう。
    これも戦前の歴史に学ぶ事で見えてくることが多い。

     

    先に挙げた日露戦争後の外交、国防政策の失敗は、
    変更した報道に簡単に乗せられた国民の愚かさが大きな原因だ。
    明治維新から現代に至るまで、日本人は劣化し続けていると私は感じているが、
    その大きな理由は教育だろう。

     

    明治政府は短期間で地方分権型の江戸時代から、
    強力な中央集権型国家への変革を目指して、天皇を過剰に神格化した誤った歴史教育を行った。
    さらに西欧列強に肩を並べる事を最大の目標において、
    過剰に西洋文明を進歩的に捉え、西洋の考え方を安易に日本に導入していく。
    歪んだ歴史教育と西洋信仰、これは現代においても何ら変わっていない教育の現状だ。

     

    インターネットの発達が露にしてくれたように、
    今の地上波や新聞の報道は非常に偏向しており、あからさまに世論誘導を企図している。
    これもまた、戦前日本と全く同じ状況だ。
    戦前と異なるのは、インターネットという新しい情報インフラが存在することだが、
    ネットを情報源とする事は、本来はとても高度な情報処理能力が必要となり、
    多くの国民はそんな能力を有していない。
    だから、ネットを流れる情報を安易に真実と捉える事は、大きなリスクが生じる。

     

    ネット時代だからこそ、誰が発信した情報かを明確にし、
    社会的責任を負って情報を発信するTVや新聞の役割は重要だ。
    しかし、現代社会では「報道の自由」の名の下に、
    彼らは野放し状態であり、今や権益の拡大にしか興味の無い特権階級になり果てている。

     

    新聞にメスを入れる事は法的にも非常に難しいが、
    TVは放送法を使って改革することは十分に可能だ。
    そして、日本のTV局と新聞社は一体化しているので、
    放送改革は日本の報道全体の改革にも繋がる。

     

    外交、国防といった対外的政策が上手くいったとしても、
    これからの国際社会の中で、日本という国が自立し、繁栄していくことは大変な困難を伴う。
    国民一人一人が、今より強く、賢くなっていかなければ、
    明るい未来を切り開くことは叶わないだろう。

     

    個人の幸せすら国家に委ねるような、脆弱な国民では日本の未来には絶望しかない。
    一人一人が強く賢くなる為には、正しい情報と、それを適切に扱い判断できる能力を育む必要がある。

     

    放送と教育分野の改革は、日本社会が取り組むべき喫緊の課題だ。
    だから、総務大臣と文科大臣の責任は非常に重いのである。
    短命に終わってしまった第一次安倍政権だが、
    その短い期間で教育基本法の改正を成し遂げた。
    教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度を養う」という愛国心や、
    「公共の精神」という規範意識も盛り込んだ。

     

    個人の権利を最上位に置き、全体より個を尊重する今の価値観は間違いだ。
    そして、そんな間違った価値観を日本社会に蔓延させたのは、
    教育に依るところが大きく、その事を安倍総理は理解している筈だ。
    だから、彼が最初に総理大臣として手を付けたのが教育基本法の改正だったのだろう。

     

    ■「お友達内閣」は好ましい政府の形

    高市氏も萩生田氏も、安倍総理と近い考え方の持ち主だろう。
    多くの報道メディアや野党が言う「お友達内閣」は、
    偏見を植え付ける為の悪意に満ちた表現ではあるが、間違っているわけではない。
    「友達」とは、要するに「安倍総理と近い思想を持つ者」であり、
    今回の内閣は、そんな人達が多数を占める内閣であると言うだけだ。

     

    日本国という巨大組織を運営する幹部たちが、同じ方向を向いている事は、
    国民にとって何も悪い事ではないだろう。
    「お友達内閣」の方がずっと我々が選ぶリーダー達が何をしたいのか見えやすくし、
    選挙で一票を投じる先を選びやすくなる筈だ。
    政府が目指す方向が違うと思うなら、「No」を突き付ける。
    民主主義を大切だと考えるなら、それが正しい行動だ。

     

    ■改憲に残された時間は残り少ない

    今回の安倍改造内閣の布陣は、
    激変する国際情勢の中で日本の未来を切り拓くためのものであり、
    自身が退いた後を見据えた人事のように私には見える。

     

    そして、未来に向けて最も重要なのはやはり「憲法改正」、
    より正確に言うなら「憲法9条の改正」だろう。
    今の9条があり続ける限り、この国に明るい未来は絶対にない。

     

    小泉進次郎氏の入閣は、憲法改正の為の人事という意味合いも大きいだろう。
    彼自身の憲法に対する考え方は不明だが、
    閣僚になったからには、憲法改正という政権全体の意向と相反する事は言えず、
    本心はどうであれ内閣の一員として国民に対して改憲の必要性を説く立場となる。
    安倍総理にとっては、進次郎人気は改憲を進める為のツールにできるのである。

     

    安倍政権に残された約2年という時間で改憲の国民投票にもっていくのは、
    スケジュール的にタイトであり、相当の困難が伴うだろう。
    2020年の東京オリンピックは、改憲へのスケジュールをよりタイトにする要因だ。

     

    それでも、安倍政権には改憲を成し遂げて欲しいと強く願う。
    憲法9条の存在は、日本人が日に日に弱く傲慢で自分勝手な国民になっている元凶であり、
    適切な外交政策や国防政策を立案するための最大の障害だ。

     

    本来ならもっと早くに、この障害は取り除かれるべきであったが、
    我々はずっと先延ばし続け、時間を浪費してきた。
    今の国際情勢の変化を見ると、これ以上の時間の浪費は致命傷となる。
    もう時間は余り残されていないのだ。

     

    今のままでは、ペルシャ湾から日本に石油を運ぶ船を自衛隊は守れない。

     

    日本に向けて発射されるミサイルの発射基地が特定できているのに、
    その基地を破壊することもできない。

     

    アメリカの為の戦争には同盟国なのに共闘できないが、
    日本の為の戦争にはアメリカに共闘してもらう必要がある。

     

    竹島と北方領土には韓国、ロシアの軍が駐留している。
    尖閣諸島には毎日のように中国海軍が接近してきている。
    竹島も北方領土も尖閣も、日本の領土なのに自衛隊が近づくことは許されない。

     

    人員も装備も全く不足しており予算を拡大することができない。

     

    自らの意思で最初に日本の為に命を捧げる道を選んだ自衛官達が、
    堂々と制服で街を歩き、国防について語る事も許されない。

     

    こんな国にしているのは、全て憲法9条が原因だ。
    本当にこんな国で良いのだろうか?
    政府も自衛隊も、憲法9条がある限り国民の為には戦えない。
    この事実を全ての日本国民は重く受け止める必要がある。

     

    安倍政権はベストな政府などではなく、むしろ失策の方が多いだろう。
    だが、それでも今の日本には代わりが居ない。
    今の野党は国民にとって害悪でしかなく、無くなった方がマシな存在だ。
    代わりも居ない、自ら代わる気もないのなら、
    今この瞬間、政府の機能を果たしてくれている人達に託す他ないだろう。

     

    代替案も無いのに現政権を批判だけをするような“お遊び”をしている様な時間は、
    今の日本には無いという事を認識すべきであり、
    定められたルールに則り、政権運営を任された今回の閣僚達を、
    我々国民は信じて支えていくより他はないのである。

     

     


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