皇統を維持するために

2019.05.11 Saturday

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    我々日本人の大切な宝である皇室が、今、断絶の危機にさらされている。
    その理由は、言うまでもなく、皇室に男子が少ないからだ。

     

    令和元年現在、皇位継承権を有する皇族は3名しかいない。
    昭和天皇の第二皇男子である常陸宮さま、
    今上陛下の弟君であられる秋篠宮さま、
    そして、秋篠宮の第一男子の悠仁親王殿下だ。

     

    現状のまま、何事もなく代替わりが行われるとすると、
    最も若い悠仁殿下が即位する時、皇族の数は女性皇族を含めても数名となる可能性が高い。
    もしも、悠仁殿下が男子を授からなければ皇室は、その後を継ぐ者を失う。
    また、男子を授かったとしてもその数が少なければ、
    今のような危機的状態が長期間に渡り続く事になる。

     

    現状で、安定的な皇位継承を続ける為には、
    悠仁殿下が5人くらいの男子を授からなければならないだろう。

     

    この状況を打破するために、頻繁に挙げられるのが女性天皇、女系天皇容認論だ。
    世論調査では女性天皇も女系天皇も、7割を超える国民が容認と答えているという。

     

    こういった世論調査の結果を聞くと、
    つくづく大衆が参加する民主主義とは最低な政治システムだと痛感する。
    古代ギリシア時代にプラトンやアリストレスらが、
    民主主義を「愚劣で堕落した政治に陥る」とした見識は全く正しいだろう。

     

    女性天皇や女系天皇を「容認する」と答えた7割以上の大衆は、
    一体、どれほどその意味を理解しているのだろうか?
    天皇という存在について、どのくらい理解しているのだろうか?
    恐らくは殆ど理解してなど居ないだろう。

     

    こんな大衆達が“無責任に”その時の気分で、はっきりと意見表明をする。
    そして、現在の民主主義制度はそのような大衆の声の影響を大きく受ける。

     

    皇室の男系継承は、神話の時代を含めるなら2600年以上、
    現代科学で確認できる範囲でも1500年以上、一度の例外もなく続いる。
    そして、一度女系を認めてしまえば、もう二度と男系継承に戻す事はできない。

     

    「女系天皇を容認する」と答えた人は、
    自分に最終決定権があったとしたら、同じ答えができるだろうか?

     

    民主主義制度の最大の欠点がここにある。
    大衆が良く分からないまま判断することは、表層的な問題に過ぎない。
    「責任感が欠落していること」これが最大の問題なのである。
    責任感を持っていれば、間違いは未来に向けての糧となる。
    責任感をもっていれば、もっと真剣に学ぼうとする。

     

    もしも、今の日本国民に責任感があれば、
    「女系天皇を容認する」という答えが7割を超える等と言う事は有り得なく、
    「どちらか分からない」が大半になるだろう。
    そうならない今の日本社会は、傲慢で無責任な国民が溢れていると言うことだ。
    大衆と言う群は人の愚かさを何千倍、何万倍にも増幅するのである。

     

    このような国民達が「容認する」と答えているのだから、
    女性天皇も女系天皇も、「容認しない」ことが恐らく正しいのだろう。
    大衆は殆どの場合、選択を間違える。
    とりわけ圧倒的多数が支持した選択肢は、100%間違いと言っても良いだろう。
    男系継承を「女性差別」と捉え、
    男女同権の観点で「容認すべき」という意見も多いのだから論外だろう。

     

    本来、自分たちの日々の生活に影響が大きい、政治や経済ですら、
    無責任な大衆達に皇室について意見を求めるのは間違いだ。
    しかし、GHQが日本国憲法に仕込んだ罠が、
    皇室について大衆が意見することを正当化した。

     

    『天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、
    この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。』
    (日本国憲法第一条)

     

    日本国憲法のこの条文こそが、未来において天皇の存在を消すために仕込んだ罠だ。
    「国民の総意に基づく」
    この言葉を根拠に、多くの国民は皇室の事に意見できると勘違いしているのである。
    国民が、この傲慢さを改めなければ、
    いつか天皇という存在そのものを失う事になるだろう。

     

    ■天皇が天皇である理由

    上記の日本国憲法の天皇の地位に関する条文は、
    「天皇を国民統合の象徴にすることが、国民の総意である」
    と言っているのであって、
    「この天皇は認める、この天皇は認めない」というように、
    国民が天皇について何か決定権を持っていると言う意味ではない。

     

    天皇とは天照大神の末裔であり、その意味において神である。
    こう言うと、「オカルトだ、科学的ではない」等と言う人が多くいるが、
    そもそも、現代科学は未だに「神」という存在を定義できていない。
    定義できないものを明確に否定はできないだろう。

     

    また、古事記や日本書紀など、天皇が神の末裔であるという証拠は存在するが、
    「天皇が神の末裔ではない」という証拠は皆無なのである。
    「神は生物学的に人間とは異なる生物」という定義はなく、
    生物学的に人間であるかどうかは、神であるか無いかと何の関係もない。

     

    「神」と聞くと、キリスト教などの一神教のGod、
    即ち唯一の超常的な絶対的存在をイメージする人が多いだろうが、
    そもそも、日本における「カミ」とはそのような存在ではない。

     

    八百万の神と呼ばれるように、日本には数多くのカミと呼ばれる存在がおり、
    菅原道真や徳川家康に代表される、死後に神として祀られた例も数多くある。
    現代においても、松下幸之助を経営の神様と呼んだり、
    優秀な成績を出したスポーツ選手やその技を「神」と言ったりもする。
    人に対してだけに留まらず、例えば面白いゲームを「神ゲー」と言ったりもする。

     

    つまり、日本における「カミ」とは、
    人に豊かな恵みや大きな感動を与えるものは全て「カミ」と呼ばれるのである。

     

    話は少し逸れるが「お客様は神様」という言葉も本来はこのような
    日本の「カミ」という概念からくる言葉だ。
    西洋のGodのような感覚で「俺はお客様だぞ、神様だぞ」と偉そうな態度をとる人は、
    「カミ」どころか、「お客様」ですらない。

     

    天皇もそんな数多いた日本のカミの1人である。
    そして、天皇の祖先はそんなカミの中でも最高神とされた天照大神であり、
    だから、長きに渡りこの国の最高権威者なのである。

     

    どうしても、「天皇は神じゃない、人間だ」としたいのであれば、
    「最も偉大と言われていた人間の末裔」とでも理解すれば良いだろう。

     

    日本国憲法の話に戻すと、
    天照大神の末裔を「天皇」と呼ぶのであって、
    我々は、その天皇を国民統合の象徴とすることを決めたに過ぎない。

     

    仮に、国民の選択でこの憲法一条を削除したとしても、
    それは、「天皇を我々の統合の象徴としない」を意味し、
    「天皇」という存在は在り続ける。
    本来は、誰が皇位を継承するかは、天皇家のお家問題なのであり、
    我々が口を挟む類いの問題ではないのである。

     

    ■男系継承で得たもの

    さて、ではなぜ天皇家は長きに渡り、男系継承を続けてきたのだろうか?
    実はそのハッキリとした理由を答えるのは容易ではない。
    特定の理論に基づいて成立したわけではなく、
    人々の経験と英知に基づいて成長してきたものだから。

     

    ちなみに、男系継承とは家系において父方の血筋を遡ると、
    必ず初代天皇である神武天皇に行き着く血統で継承することを言う。
    仮に、愛子内親王殿下が一般男性と結婚し、
    その子(男女問わず)が天皇に即位すると、
    父親はお相手である一般男性となり、男系では神武天皇までは繋がらない。

     

    男系継承の存在理由を言語化するのは困難だが、
    一つハッキリしているのは、男系継承に拘ってきたからこそ、
    天皇家は世界最長の王朝であり、現在も続いているということだ。

     

    皇室は少なくとも6世紀以前まで遡ることができ、
    その場合でも1500年を超える歴史がある。
    皇室の次に古い王朝は、デンマークであり起源は900年頃、
    続くイギリス王朝はその成立は1066年である。

    デンマーク、イギリス共に女系継承を容認している。
    尚、イギリス王室(ウィンザー朝)の初代はドイツ人だ。

     

    皇室が女系を認めていたらどうなっただろう?
    豊臣秀吉や徳川家康のような時の権力者が、
    その力をもって自分の子供(男子)を皇女と結婚させ、
    天皇として即位させようとしただろう。
    そのような事を行えば、豊臣家や徳川家が皇室となり、
    天皇家とは単に時の権力者の家系となってしまう。

     

    もしも、徳川家が皇室だとしたら、
    戊辰戦争に勝利した明治政府は、その存続を認めないだろう。

     

    天皇家から見ると男系継承は、他から攻撃される可能性を下げる効果がある。
    例えば女系継承により徳川家康の子孫が天皇になれたとすると、
    徳川家としてはわざわざ天皇から征夷大将軍の位を賜り、
    武家の棟梁として君臨する必要は無くなる。
    天皇という地位自体に全ての権力を集中させる方が良いと考え、
    中国における皇帝のような存在になるだろう。

     

    日本の歴史を振り返ると、多くの期間で天皇とは権威であり、
    実質的な権力は有していない。
    この権威と権力の分離は、皇室を長く存続させた最大の理由だが、
    これを実現する為には男系継承は都合が良い。

     

    男系継承により、皇室は権威だけを持つ存在として、
    野心を持つ者達にとって、打倒するより利用する方が良い存在となった。
    明治政府による国家運営は、皇室の権威利用の好例と言える。

     

    現代日本においても、天皇の権威は絶大だ。
    全ての法律、そして憲法も天皇陛下の名で公布される。
    総理大臣を始めとする政府の主要メンバーは、天皇陛下が任命、認証する。

     

    現代日本で女系継承が認められたらどうなるか?
    理論的には全ての男性が、女性皇族の夫になることができる。
    例えば、愛子内親王殿下が女性天皇として即位したとする。
    その夫として一般国民が皇族となる。
    そして、その二人の間に生まれた子供が皇位を継承する。
    つまり、一般国民の子が法律の公布や総理大臣の任命を行うのである。

     

    果たして国民は、それを今までと同じように受け入れられるのだろうか?
    今は想像できないかもしれない。
    少なくとも、愛子内親王殿下が天皇になり、一般男性と結婚し、
    その子が天皇となったとしても、多くの国民は今と変わらないかも知れない。
    ただ、時が経つにつれて皇室の権威は間違い無く失墜していくだろう。

     

    ■男系継承は「女性優遇」

    「皇位継承は男系男子に限る」という今のルールを、
    「女性差別だ」とする意見が散見されるが、これは何も理解していない愚かな意見だ。
    そもそも、今のルールは「女性差別」どころか「女性優遇」と言える。
    理論的には、女性は誰でも男性皇族と結婚することで皇族なれる。
    しかし、男性は皇族になることはできない。
    女性皇族が一般男性と結婚した場合、皇籍を外れ一般人となるからだ。

     

    もっとも、皇族になれることが良い事なのか?と言われれば、大きな疑問だ。
    皇室は欧州の王室と異なり、神話の時代から続く様々な儀式を行う義務を負う。
    これらの儀式の多くは、憲法や皇室典範で定められた「公務」ではなく、
    天皇家の私的儀式だ。

     

    早朝や深夜に長時間に渡る儀式や、数日間かかる儀式もある。
    「天皇」という位は、総理大臣以上に多忙な立場と言え、
    天皇家の男子として生まれるということは、一般的感覚で言うなら不幸ではないだろうか?

     

    女性天皇や女系天皇が誕生することが、女性の地位向上を実現すると考えるなら、
    それは身勝手で傲慢な考え方であり、天皇陛下の臣民足る資格すら無いだろう。

     

    「女性しか就いていない仕事は女性差別」
    「男性しか就いていない仕事を奪う事は女性の地位向上」

     

    こんな浅はかな考えで、男女同権を主張するから、
    現実は「女性の男性化を強制する社会」になっていくのである。

     

    歴史的には、何人か女性の天皇はいたが、基本的には天皇とは男子が就く位だった。
    天皇家の義務として行われる各種儀式も、男性が執り行う事を前提としている筈であり、
    女性が行うのは大変なものも多いだろう。

     

    今の女性皇族としての仕事も決して楽なものではない。
    だが、男性皇族と結婚して女性皇族となる一般女性は、それは自分の意思で選んだ道だ。
    一方、天皇家に生まれた女性は強制的に皇族としての責務を負う。
    そこから、結婚することで解放されるのが男系継承の今の制度だ。
    女系継承を認める事は、果たして本当に女性にとって良いことなのか?
    よく考えてみることだ。

     

    ■守り続けてきた男系継承

    皇統の安定的な維持の為の方策は、旧宮家の復活しかない。
    戦後、皇籍を外れた11宮家から男系が続いている家を戻す。
    長い皇室の歴史でも、何度か今回のような危機が訪れているが、
    その全てをこの方法で乗り切ってきた。

     

    今の日本は、歴史や伝統を軽んじ、
    古いものを“古い”と理由のみで安易に変えようとする。
    これもまた、傲慢さの現れだろう。
    過去の人達より、自分の方が優れていると考えるから出てくる発想と言える。

     

    変化とは、多くの場合において何かを壊す事を伴う。
    そして、世の中には1度壊してしまうと2度と戻せないものが多い。
    皇室の男系継承とは、まさにそういった類いのものなのである。

     

    長い皇室の歴史で、皇室も様々な変化があった。
    しかし、それでも変わらなかったものがあり、その1つが男系継承だ。
    男性は女性に比べて、寿命も短く、身体的には弱い。
    昔は戦争や政争で命を奪われることもあり、男女の生存率の差は今より大きいだろう。
    つまり、男系継承とはより困難な選択だったということだ。
    にもかかわらず、他の事は変えても、男系継承は守り通してきた。
    そこには、何か意味があった筈だ。

     

    少なく見積もっても1500年以上の長きに渡り守り、続けてきたことを、
    無責任な大衆の「世論」なるものを尊重して変えるなどあってはならない。

     

    ■何を守るべきなのか

    日本国とは「皇室をいただく国家」である。
    これが日本の国体であり、日本国の定義と言っても良いだろう。
    皇統が途絶えると言う事は、日本国の終わりを意味する。
    皇統は「男系継承」そのものであり、女系継承を認めた瞬間、
    それは、これまでの皇室とは異なるものとなり、これもまた日本国の終わりだ。

     

    「日本国の終わり」と言っても、他国に取り込まれるわけでもなく、
    「日本国」という名前も変わらないだろう。
    だが、それは今とは違う「日本国」なのである。

     

    私たちの先祖は、この国体を大切に守り続けてきた。
    大東亜戦争で配色濃厚になったとき、最後まで拘ったのが「国体の維持」だ。
    言い換えると「天皇の存在を認める」ことだ。
    「ポツダム宣言は天皇の存在を否定するものではない」ことを確認して、
    我が国は敗戦を認めた。

     

    「そんなことに拘らず、さっさと降伏すべきだった」
    「そうしたらずっと少ない犠牲で済んだ」

     

    こんな意見もあるだろう。
    早く降伏していれば、犠牲は少なく済んだ事は事実だろう。
    だが、私はだからといって安易に「早く降伏すべきだった」とは言い切れない。

     

    「国を守る」とはどういうことだろうか?
    政治家達は「国民の生命を守る」と言うが、
    だとすれば、例えば中国な侵略したとして、戦わず降伏し、
    日本が中国の一部になることは、「国を守った」と言うことになるだろうか?

     

    やはり日本にとって「国を守る」とは「皇室を守る」という事と同義のようにも思う。
    但し、「皇室を守る」とは「天皇の位にいる一人の人間を守る」事では無い。
    「皇統」という未来を守る事なのではないだろうか?
    皇統を守る事、それは即ち我々の暮らすこの日本国を未来の世代にも残す事だ。

     

    民主主義に洗脳され、個人の自由や自分の人生しか考えなくなりつつある現代こそ、
    皇統を守るという意味は重いだろう。
    そして、皇統を守る為に我々国民が出来る事は、
    無責任に傲慢な意見を表明することではなく、
    心静かに皇室に多くの男子が産まれることを願い、祈ることだ。

     

    天皇陛下は毎日、国民の幸せを願って祈る。
    これは太古の昔から天皇家に継承されている最重要儀式だ。
    今度は国民一人一人が皇室の為に祈る番と言えるだろう。


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