日本史に学ぶ6−江戸幕府はなぜ滅びたか−

2019.09.22 Sunday

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    JUGEMテーマ:歴史

     

    約260年続いた江戸幕府が終わりを迎える幕末期は、
    戦国時代に並ぶ非常に人気の高い時代だ。

     

    小説、映画、ドラマ、漫画、ゲーム・・・様々なエンターテイメント作品の題材に選ばれ、
    毎年1年間をかけて放送されるNHKの大河ドラマも、
    「困ったら幕末」といった感じで、幕末期が題材にされる。

    幕末期の人気は、こうしたエンターテイメント作品によって定着したイメージに依るものだろう。

     

    「凡そ三百年、惰眠をむさぼっていた日本人の前に、
    突如として強大な軍事力をもった欧米列強の白人たちが現れる。
    動揺し、混乱する日本。
    この危機に祖国を救うべく勤王の志士が立ちあがる。」

     

    幕末期を題材にした殆どのエンターテイメント作品は、
    このような時代設定を基に物語が展開していく。

     

    エンターテイメントとして楽しむ分には問題は無いが、
    あくまでフィクションとして捉えるべきだ。
    坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟、大久保利通、桂小五郎、伊藤博文、山形有朋、
    吉田松陰、高杉晋作、そして新選組の面々。
    綺羅星のごとく英雄的人物達が登場するが、
    彼らに対して、現代に生きる多くの人々が抱いているイメージは、
    その殆どが事実と異なり、過剰に美化されたものだ。

     

    現代社会は、実は明治以降から大きく変わってはいない。
    室町時代から安土桃山時代への変化、
    江戸時代から明治時代への変化、
    こういった変化に比べると、明治から今に至る変化など無きに等しい。
    敗戦を境に、それ以前と比べて大きく変わったかのような教育を受けるが、
    「新しい時代が始まった」と言えるような変化は無いのである。
    明治、大正、戦前昭和を纏めて「〇〇時代」と呼ばないのが、その何よりの証拠だ。

     

    歴史は作られるものであり、今に残されている歴史資料は必ずしも真実を記録したものではなく、
    記録された時代の権力者や社会情勢などに大きな影響を受ける。

     

    現代日本は基本的に明治政府の延長線上にあるので、
    自分たちが打倒した江戸政権を悪く書く。
    国民を苦しめ、日本を亡国の危機に追いやった「無能な政権」、
    そんな風にしなければ、武力をもって江戸幕府を倒した事を正当化できない。
    幕末期に登場する人物達が英雄的に描かれるのは、こういった思惑が強く影響している。

     

    現実は、薩長が行った事は軍事クーデターでありテロ行為であり、
    維新の志士たちを育てた吉田松陰の私塾とは、言うなればテロリスト養成所だ。
    坂本龍馬は武器商人であり、言うなれば「死の商人」だ。

     

    そもそも、薩長は当初は開国路線を進める幕府の政策を、
    開国に否定的だった孝明天皇(明治天皇の父)の意向を無視したものだと反発し、
    「尊王攘夷」を掲げ江戸幕府を倒すのだが、
    薩長を中心に構成された明治政府は、「富国強兵」「文明開化」をスローガンに、
    積極的に西洋文明を取り入れる政策を進める。

     

    戊辰戦争の大義名分とは建前に過ぎず、内実は薩長によって仕掛けられた権力闘争だ。
    江戸幕府は国際情勢の変化を十分に理解していたので、
    この権力闘争に徹底抗戦することは、欧米に付け込まれる隙を与えるだけだと考え、
    大政奉還により自ら権力を天皇に返上し、江戸城を無血開城する。
    真に日本の危機を救うべく行動したのは、実は江戸幕府の側とは言えないだろうか?

     

    とは言え、江戸幕府の力は衰え続けており、
    世界情勢の変化についていけなくなっていたのも事実だ。
    全国300余りの諸侯による連合政権である江戸幕府は、
    大名達の支持なくしては成り立たないが、その支持も失いつつあった。
    薩摩藩、長州藩、土佐藩といった僅な数の藩に江戸幕府が倒されたのは、
    江戸幕府に味方する藩が殆ど無かったからだ。
    何故、全国の大名たちは幕府に味方しなかったのだろうか?
    幕末とは本当はどんな時代だったのだろうか?

     

    本当の幕末の姿を考えてみる。

     

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