「節約」は国を貧しくする

2020.04.23 Thursday

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    国際通貨基金(IMF)は2020年4月14日、
    2020年の世界全体の成長率が-3.0%になると言う予想を発表した。
    言うまでもなく新型コロナウイルスの影響だ。

     

    世界全体のGDPがマイナスになるという事態は、
    第二次世界大戦に遡らなければならず、1929年の大恐慌以来だ。
     

    最近ではリーマンショックによって経済危機が発生したが、
    この時(2009年)の世界全体のGDPは-0.1%と誤差の範囲であり、
    実質的には横ばいだったと評価して差し支えないだろう。

     

    1929年に発生した大恐慌は1932年までの4年間で主要国経済は-16%、
    世界全体では-10%だったと言われている。

     

    これは-2%台が4年間続いたという事になり、
    単年で見れば今回のコロナウイルスによる経済的ダメージと同程度だ。

     

    大恐慌は第二次世界大戦に至る道を決定づけた出来事だ。
    この経済危機が無ければ、若しくは上手く対応できていれば、
    第二次世界大戦という人類史上最悪の悲劇は回避できた可能性は高いだろう。

     

    ナチスドイツの誕生も、日本の軍部独走も大恐慌が招いた経済的困窮が大きく影響している。
    人は経済的に困窮すると普段は見向きもしないような過激な主張に飛びつく。
    この事は歴史を学ぶと幾度となく目にする光景であり、
    そのような兆候は今この瞬間にも現れている。

     

    新型ウイルスはその名が示すように未知のウイルスであり、
    政府の責任で感染が広がっているわけではない。
    しかし、大衆は政府の対策を常に非難するばかりだ。

     

    2000年代になってから日本経済は殆ど成長しておらず格差は広がるばかりだ。
    経済成長はしている欧米先進国にしても、その恩恵を受けているのは一部の富裕層だけであり、
    多くの国民は決して豊かになっているとは言えない。

     

    最も深刻なのは「多様性の喪失」だ。
    日本を含む先進諸国は多様性を失いつつあった。
    だから、近年「ダイバーシティー」といった言葉を盛んに掲げる。
    多様性がなくなりつつあるから、多様性を求める声が大きくなるわけだ。

     

    学歴が全てとなり、高い学歴を手にできるかどうかはカネで決まる。
    貧しい家庭に生まれた子供には、どんな才能があったとしても成り上がる事は絶望的だ。
    この事は人から「夢、希望」を奪う事を意味し、
    持つ者への妬みと嫉妬、憎悪を募らせる事に繋がる。

     

    何か上手くいかなった時、その原因を自分に求める事ができる人は稀であり、
    多くの人は安易に他者のせいにする。
    だから、ドイツ国民は「あなた達が苦しいのはユダヤ人のせいだ」と説くヒトラーの言葉に逃避した。

     

    日本を含む世界は、コロナ前から既に他者への嫉妬と憎悪が渦巻いていたが、
    コロナウイルスによる経済危機によって、
    そういった人間の闇が一気に噴き出す可能性が高い。

     

    その先に待っているのは、歴史上何度も繰り返されてきた大きな破壊だ。
    「第三次世界大戦なんて起きるわけがない」
    恐らく、多くの日本人はこう思っているだろう。

     

    だが忘れてはならない。
    第一次世界大戦も第二次世界大戦も、当時の人々は同じように考えていた。
    「起きる筈がない」と多くの人が考える時、戦争は起きる。
    逆に「起きるだろう」と多くの人が考える時の殆どでは、実際に戦争は起きない。

     

    今、我々を取り巻く世界は、驚くほど第二次世界大戦前夜に酷似している。
    第二次世界大戦という結果は、全ての人類にとって間違い無く失敗だ。
    特に敗戦国となってしまった日本にとっては大失敗と言える。

     

    同じ失敗を繰り返してはいけない。
    人類があのような失敗をした大きな理由は経済政策の誤りだ。
    言うまでもなく人間も動物であり、食べていける事が全ての基本だ。
    食べて行く事ができるから、法治国家が成立し、個々の権利が意味を持つ。

     

    特に現代を生きる日本人は、さほど苦労せずに有り余る豊かさを享受している。
    “食べていけるだけ”では大きな苦痛を感じる人が殆どだろう。
    「外食ができる」「年に1回は旅行に行ける」「最新のスマートフォンを使える」・・・
    こういった事が満たされないだけでも大きな不満を溜める事になる。

     

    こんな贅沢で傲慢になった現代日本人によって、
    先人達が必死になって作り上げた貯金を食い潰し、日本は危機的状況に陥った。
    ここで、コロナショックに対する経済政策を誤ると致命傷になりかねない。

     

    日本国民は過去に学び、できるだけ正しい経済政策を選択しなければならない。
    このことは民主主義を採用するなら、主権者である全ての国民に課せられた義務だ。
    コロナショック後に採るべき日本の経済政策について考えてみたい。

     

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