氷河期世代が生んだ自己責任社会
2024.03.08 Friday
2024年2月22日、日経平均株価が取り引き時間中の史上最高値、
3万8957円をおよそ34年ぶりに更新した。
このことは「失われた30年」とも呼ばれた、長期低迷時代の出口が遂に見えてきたことを意味する。
バブル期ピーク、日本企業は世界で強い存在感を発揮していた。
例えば、1989年の世界の企業の時価総額はトップがNTT。
2位以下には大手銀行が名を連ね、上位20社のうち実に14社が日本企業だった。
翻って2024年を見てみると、
トップがマイクロソフト、2位がアップル、3位以下も外国企業が名を連ね、
上位20社に日本企業の名はない。
日本で最上位のトヨタ自動車は24位だ。
今回の株高の中身を見るとバブル期とは様相が全く異なる。
バブル期において海外投資家の日本株保有率は5%弱だったが、
現在は30%以上を占めている。
コロナによって欧米諸国、日本は大量のカネをバラマキ、
その結果、今世界ではカネが余っている。
人の欲とは際限がないもので、人は余ったカネを投資して更にカネを増やそうとする。
そんな資金の行き場として今回は日本が選ばれた。
円安進行により輸出企業の業績は上振れする期待が大きく、
そもそも円安局面では日本株は割安だ。
こんな理由から海外投資家の資金が日本に流れ込んだのである。
日本企業が世界をリードする新しい技術や商品を開発したわけでもなく、
日本企業の国際競争力が上がったわけでもない。
寧ろ、相変わらず日本の国際競争力は低下し続けている。
それでも、この株高は悪い事では無い。
世界から資金が集まっていることは確かであり、
それを活用することができれば、日本復活の原動力になり得る。
今、日本は再び世界で存在感を高める機会を得ている。
一方で、これはあくまで「機会」でありそれを掴み取る事ができるかは我々次第だ。
だが、残念な事にこの機会を掴み取れる可能性は低いと言わざるを得ない。
それは、我々日本人は戦後ずっと、問題の本質から目を背け続け、
リスクを先送りしてきたからだ。
これこそが、失われた30年を過ごしてきた最大の理由であり、
国際競争力の低下、少子化問題、社会保障費問題、自殺者の増加などなど、
今、目の前で顕在化している様々な社会問題の原因でもある。
そして、この体質は今も何も変わっていない。
今回の株高は暫く続くだろう。
数字だけを見るなら「好景気」と評される経済状況になる可能性は低くない。
だが、その果実を国民全体が享受することは難しいだろう。
今以上に格差は広がり、日本はより貧しくなる。
根本的な原因を正面から受け止め、解決させようとしない限り、間違い無くこうなる。
2024年は団塊世代が全て75歳以上となる。
このことは日本社会が彼等の子供達、所謂「団塊ジュニア」が中心の社会に完全に移行することを意味する。
団塊ジュニアとはイコール、「就職氷河期世代」であり、
2024年現在では、41歳〜50歳だ。
多くの企業でこの年代が管理職の多くを占め、企業内で舵取りをしている。
だから、現在の日本低迷の理由を知り克服していくためには、
団塊ジュニア・就職氷河期世代の事を知ることは非常に重要になる。
団塊ジュニア達がどのような時代を生き、その結果どのような価値観を持つに至ったのかを考えてみたい。