安倍改造内閣の挑戦とは

2019.09.19 Thursday

0

    JUGEMテーマ:政治全般〜国会・内閣・行政

     

    2019年(令和元年)9月11日、新しい閣僚による政府が発足した。
    メディアでは、「第四次再改造内閣」など様々な呼称があるが、
    正確には「第四次安倍第二次改造内閣」と呼ぶ。

     

    多くの国民はあまり意識してはいないが、
    内閣総理大臣は衆議院選挙の都度、総理大臣の職を退く。
    そして、選挙で選ばれた衆議院議員達で新しい内閣総理大臣を指名する。
    この7年間、ずっと安倍晋三氏が内閣総理大臣だが、
    これは衆議院選挙の都度、指名され続けている為であり、
    だから彼は第90代、第96代、第97代、第98代の内閣総理大臣なのである。

     

    国民の視点から見ると、2012年12月の第二次安倍政権発足から今に至るまで、
    安倍晋三内閣総理大臣を長とする日本政府の形は変わっていないのだが、
    閣僚の面々は頻繁に変わっている。
    日本の内閣は、凡そ1年程度の間隔で閣僚、即ち大臣の面子が大きく変更される。
    これが「内閣改造」だ。

     

    安倍総理は通算5回の内閣改造を実施しているが、
    衆議院選挙終了後に新たに総理大臣に就任した際にも、閣僚の面子は変更しているので、
    2012年12月から今に至るまで、計8回閣僚は変更されている。

     

    副総理兼財務大臣の麻生太郎氏、官房長官の菅義偉氏の2名は、
    第二次政権発足から変わっていないが、他の大臣は毎回変更されている。
    かつては総理大臣すら頻繁に交代しており、
    この頻繁な閣僚の変更は、日本が長期戦略を構築するにあたっての大きな障害だ。

     

    日本で頻繁に総理大臣を含んだ内閣の構成が変更される理由は何だろうか?
    1つは、政権与党である自民党に組み込まれたメカニズムだ。
    自民党のトップである総裁は、自民党内の選挙で選ばれるが、
    この総裁選は3年毎に実施され、同じ人物が総裁になれるのは3期までだ。
    そして、自民党総裁の任期がくれば、首相在任中であったとしても総裁選が実施される。
    この総裁選で敗れれば、衆議院選挙の有無に関わらず総理大臣は交代となる。

     

    現役の総理大臣が、自民党内の総裁選で敗れる事は殆ど無いが、
    三期目の総裁であれば、当然総裁選挙に出馬することはできないので、
    自動的に総理大臣は交代ということになる。

     

    民主党政権は、鳩山、菅、野田とほぼ1年毎に総理が変わったが、
    これも、民主党という政権与党内部の事情からだ。
    民主党の構成員は、「国会議員になりたい人」の野合集団でしかないので、
    時々のトップが失敗をし、国民の支持を失うと即座に引きずり降ろそうとする。
    だから、民主党の代表が頻繁に変わる事になり、
    その結果、総理大臣も頻繁に変わってしまうことになる。

     

    共産党を除く全ての政党は、自分たちの党内に首相を交代する仕組みを内包している。
    一国の首相を、それを支えるはずの政権与党内に、
    引きずり下ろす仕組みが存在する事自体が奇妙であり、
    連立与党、国民を無視した所業と言える。

     

    総裁選や代表選以外でも、党内抗争により与党議員が首相の退陣を要求する事は頻発する。
    党内支持を安定させるために、現職の総裁や代表、即ち内閣総理大臣は、
    内閣総理大臣だけが持つ人事権を行使する。
    これが、「内閣改造」の本当の意味だ。

     

    特に今の安倍政権のように長期政権で、
    野党に政権与党の座を奪われる可能性が皆無となれば、
    「次は自分が大臣だ」と思う議員が党内に溢れかえる。
    そういった者達に大臣ポストを与えなければ、
    安倍総理が総理大臣の座に居続けることは難しいのである。

     

    こういった日本の政党が抱えるメカニズムを知れば、
    安倍政権を「独裁的」と批判するメディアの主張が如何に的外れなものかが分かるだろう。
    共産党を除くどの政党が政権与党になったとしても、
    日本で真の意味で独裁的な政治が行われることなど有り得ないのである。

     

    とは言え、今回の安倍改造内閣はこれまでに比べると、
    安倍総理がやりたいと思う事を、多少強引にでも進める事ができる筈だ。
    何故なら、これが安倍総理の最期の任期だからだ。
    3年毎に半数ずつ改選される参議院選挙が7月に終わったばかりなので、
    衆議院を解散しない限り、次の国政選挙はしばらく無い。

     

    また、安倍総理自身の自民党総裁任期は2021年であり、
    自民党内のルールを変えない限りは、最長でも2021年で安倍政権は終わる。
    2017年に総裁任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に変更したが、
    これを「連続4期12年」に変更することは考えにくい。
    何故なら、前回の党則改正は安倍総裁が最終的な意思決定者として行ったものだからだ。
    党内や自民党支持者から、続投を求める強烈な声が沸き上がれば別だが、
    自分で変えたルールを再度変更する事は常識的には行わないだろう。

     

    別の総理・総裁を挟んでから再度返り咲く可能性はあるが、
    少なくとも2012年から始まった安倍政権は、最後の2年間となる可能性が極めて高い。
    次の総裁選に出馬しないのなら、党内抗争に配慮する必要性は薄くなり、
    黙っていても最大2年で総理から退く状況で、
    党内から、「安倍おろし」の声が上がる事態も考えにくい。
    余程大きな不祥事がなければ、今回の改造内閣の面々で任期を終えるだろう。

     

    日本の歴代総理で、これ程まで総理がやりたいことを進められる環境が整った例は少ない。
    安倍総理に“そのつもりがあるなら“、日本の未来を決める重要な2年間になる筈だ。
    安倍総理は今回の内閣を「挑戦と安定の内閣」と称した。

    新しい日本政府は何に挑戦するのだろうか?

    なぜ安定を強調したのだろうか?

    恐らく最後となるであろう、安倍改造内閣の見ているものを考える。

     

    続きを読む >>